ナンピンEAとマーチンゲールEAの違い

EAの商品説明や設定名を見ると、「ナンピン」「マーチンゲール」という言葉が並んでいることがあります。どちらも複数ポジションやロットの扱いに関係しますが、同じ意味ではありません。

この記事では、ナンピンEAとマーチンゲールEAの違いを、追加する位置、ロットの増え方、平均建値、含み損、ロスカットの見方に分けて扱います。特定のEAや運用方法をすすめる内容ではありません。

まず、ナンピンとマーチンゲールは見ている場所が違う

MT4公式ヘルプでは、Expert AdvisorはMQL4で作られ、分析や取引処理の自動化に使われるプログラムとして説明されています。つまりEAは、注文、決済、条件判定などをプログラムとして扱える道具です。

その中で、ナンピンは主に「どこで追加ポジションを持つか」に関わります。一方、マーチンゲールは主に「追加や次回注文でロットをどう変えるか」に関わります。両方を同時に使うEAもありますが、言葉の役割は分けて読んだ方が安全です。

最初に分ける見方
  • ナンピン:価格が逆方向に動いた後、追加ポジションを持つ考え方
  • マーチンゲール:損失後や追加時に、ロットを大きくする考え方
  • ナンピン+マーチンゲール:逆方向に動くほど、ポジション数とロットが増える構成

ナンピンEAは追加位置を見る

ナンピンEAを見る時は、まず追加ポジションを持つ条件を読みます。一定幅ごとに追加するのか、インジケーター条件で追加するのか、時間や回数の制限があるのかによって、口座への負荷は変わります。

ナンピンでは、追加後の平均建値が変わります。価格が戻った時に損益が改善しやすく見える一方で、戻る前の含み損や必要証拠金も大きくなりやすい点を見落としてはいけません。

追加幅

どの程度逆方向に動いたら追加するのかを見る項目です。狭いほど追加回数が増えやすくなります。

最大ポジション数

何本まで追加するのかを見る項目です。上限が曖昧だと、リスクを読みづらくなります。

平均建値

追加後の損益分岐点を見る時に関係します。ただし、平均建値だけでは口座全体のリスクは読めません。

マーチンゲールEAはロットの増え方を見る

マーチンゲールは、一般に損失後や追加時に数量を増やしていく考え方として使われます。MetaQuotesのMQL5記事でも、マーチンゲールは損失後に賭け金を増やし、一定の結果が出たら最小単位へ戻す賭け方として説明されています。

FXのEAで「マーチンゲール」と書かれている場合、見るべきなのはロット倍率です。0.10、0.20、0.40のように増えるのか、0.10、0.15、0.20のように緩やかに増えるのかで、含み損や必要証拠金の増え方は変わります。

項目 ナンピンEA マーチンゲールEA
主に見る部分 追加ポジションを持つ位置や回数 ロットの増え方や倍率
関係しやすい数字 追加幅、最大ポジション数、平均建値 初期ロット、倍率、最大ロット、累計ロット
重くなりやすい点 ポジション数が増え、含み損が膨らみやすい ロットが増え、損益の振れ幅が大きくなりやすい
重なる場合 逆方向に動いた時に追加する 追加するたびにロットも増やす

ナンピンとマーチンゲールが重なる時が危ない

ナンピンだけなら追加位置、マーチンゲールだけならロット倍率を中心に見ます。しかし、ナンピンとマーチンゲールが重なるEAでは、価格が逆方向に動くほどポジション数とロットの両方が増えます。

この場合、平均建値が現在価格へ近づいて見える一方で、累計ロットは急に大きくなることがあります。損益分岐点だけを見ると、口座全体の負荷を見誤りやすくなります。

追加回数 同ロットのナンピン例 ロットを増やす例 見るべき点
1本目 0.10ロット 0.10ロット 初期ロットが口座に対して大きすぎないか
2本目 0.10ロット 0.20ロット 追加後の累計ロットを見る
3本目 0.10ロット 0.40ロット 含み損と必要証拠金の増え方を見る
累計 0.30ロット 0.70ロット 平均建値だけでなく、口座全体で読む

リスク確認メモ

ナンピンEAとマーチンゲールEAを見る時は、損益分岐点がどこに移動するかだけでなく、そこへ到達する前にどれくらい含み損や必要証拠金が増えるかを見ることが大切です。

平均建値が近く見えても、累計ロットが大きくなっていれば、口座全体のリスクは重くなります。

購入前や導入前に見る項目

ナンピンEAやマーチンゲールEAを見る時は、成績のグラフだけでは足りません。どの条件で追加するのか、ロットが何倍になるのか、最大ポジション数はいくつか、停止や損切りの条件はあるのかを見ます。

MetaTrader 4のターミナルでは、保有ポジションの取引種別、数量、通貨ペア、建値、現在価格、損益などを取引タブで見ることができます。複数ポジションを扱うEAでは、こうした表示を口座全体で読む必要があります。

導入前に見たいチェック項目
  • 初期ロットとロット倍率
  • 最大ポジション数
  • 追加幅や追加条件
  • 最大ロットや累計ロットの上限
  • 損切り、停止、手動介入の条件
  • バックテストの期間と最大ドローダウン
  • 証拠金維持率とロスカットへの近さ

ロスカットと証拠金維持率を別枠で見る

金融庁は、外国為替証拠金取引について、証拠金以上の損失が生じるおそれがあるリスクの高い商品であり、仕組みとリスクを十分に理解したうえで判断するよう注意喚起しています。

金融先物取引業協会も、個人顧客向けFX取引の証拠金規制やロスカット・ルールについて説明しています。ナンピンやマーチンゲールでは、損益分岐点だけでなく、証拠金維持率とロスカットへの近さを別枠で見る必要があります。

1 追加条件を見る どの価格差、どの条件、どの回数で追加するのかを読みます。
2 ロット倍率を見る 追加時に同じロットなのか、増えるのか、どこまで増えるのかを見ます。
3 累計ロットを見る 1本ずつではなく、保有中の合計ロットで口座への影響を見ます。
4 停止条件を見る 含み損、ポジション数、証拠金維持率など、止める基準を先に読んでおきます。

平均建値だけで判断しない

ナンピンでは、追加後の平均建値を見ることが多くなります。平均建値は、どこまで戻れば損益分岐点に近づくかを見る材料になります。

ただし、平均建値が現在価格へ近づいても、ポジション数とロットが増えていれば、含み損や必要証拠金は重くなっている可能性があります。平均建値、損益分岐点、累計ロット、証拠金維持率を分けて読むことが大切です。

ナンピンEAやマーチンゲールEAは、価格が戻る前提だけで読むとリスクを小さく見積もりやすくなります。戻り方を見る前に、戻らない時間が続いた場合の含み損、累計ロット、ロスカットへの近さを見てください。

まとめ

ナンピンEAとマーチンゲールEAは、同じ意味ではありません。ナンピンは主に追加ポジションを持つ位置や回数、マーチンゲールは主にロットの増え方に関係します。

両方が重なるEAでは、逆方向に動くほどポジション数とロットが同時に増えやすくなります。平均建値や損益分岐点だけでなく、含み損、累計ロット、証拠金維持率、ロスカットへの近さをあわせて見てください。

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